「黒い便が出た…」その色、体からのサインかもしれません
トイレでふと振り返ったら、便が真っ黒だった――。
思わず「これって大丈夫?」とスマートフォンで調べた方も多いのではないでしょうか。
黒い便は、前日に食べたものやお薬の影響で出ることもあれば、胃や十二指腸からの出血を知らせるサインのこともあります。見た目は似ていても、意味はまったく違います。
次のようなことに心当たりはありませんか?
- 便が真っ黒で、ねっとりとしたツヤがある
- いつもと違う、鼻をつくようなにおいがする
- 黒い便が2回以上続いている
- 最近、立ちくらみや疲れやすさを感じる
- 痛み止めや血液をサラサラにする薬を飲んでいる
- みぞおちの痛みや胃の重さが続いていた
この記事では、八尾市・高安の消化器内科くずもと内科クリニックが、「すぐに受診すべき黒い便」と「心配いらない黒い便」の見分け方を、受診の緊急度別にわかりやすく解説します。
【最初に確認】黒い便の緊急度チェック
黒い便に気づいたら、まずはご自身の体の状態を確認してください。便の色そのものよりも、全身にどんな症状が出ているかが緊急度を判断する手がかりになります。
【今すぐ救急へ】こんな症状があるとき
- 血を吐いた、またはコーヒーのかすのような黒っぽいものを吐いた
- 立ち上がるとふらつく、目の前が暗くなる
- 冷や汗が出る、顔色が真っ青だと言われた
- 意識が遠のく、気を失いかけた
- じっとしていても脈が速く、息苦しい
これらは、まとまった量の出血が続いている可能性を示すサインです。クリニックの診療時間を待たず、救急車(119番)を呼ぶか、救急外来を受診してください。
【当日〜翌日に受診】このような場合
- 食べ物や薬に思い当たることがないのに、真っ黒な便が出た
- ねっとりとしたタール状の便が出た
- 黒い便が2回以上続いている
- みぞおちの痛み・胃もたれ・吐き気をともなう
- 痛み止め(解熱鎮痛薬)や血液をサラサラにする薬を服用している
- 肝臓の病気を指摘されたことがある、お酒を多く飲む
全身の状態が落ち着いていても、消化管のどこかで出血している可能性があります。できるだけ早く消化器内科を受診しましょう。
【様子を見てもよいことが多い】このような場合
- イカ墨料理など、色の濃いものを食べた心当たりがある
- 鉄剤など、便が黒くなりやすい薬を飲み始めた
- 便の形はふだん通りで、ベタつきや強いにおいがない
- 体調にまったく変化がない
食べ物が原因であれば、2〜3日ほどで便の色はふだんに戻ります。鉄剤などのお薬が原因の場合は、服用している間は黒っぽい便が続くことがあります。
心当たりのあるものを控えても黒い便が続くとき、あとから体調が変わってきたときは、受診をおすすめします。
なぜ便は黒くなる?出血した「場所」で色が変わる理由
血液は胃酸にふれると黒く変わる
血液の赤い色は、赤血球に含まれるヘモグロビンという成分によるものです。
食道・胃・十二指腸など、消化管の入り口に近い場所(上部消化管(じょうぶしょうかかん))で出血すると、血液は胃酸や消化液にふれて化学変化を起こし、赤から黒へと色が変わります。
さらに、長い腸を時間をかけて通るうちに腸内細菌による分解も進み、ねっとりとした真っ黒な便になります。見た目が道路の舗装に使うコールタールに似ていることから、タール便と呼ばれています。
赤い血便との違い
一方、大腸の出口に近い場所や肛門から出血した場合は、血液が変化する時間がないため、鮮やかな赤い血として便に混じったり、トイレットペーパーについたりします。
- 黒い便(タール便):食道・胃・十二指腸など、体の上のほうからの出血が多い
- 暗い赤〜赤黒い便:小腸や大腸の奥(右側)からの出血のことがある
- 鮮やかな赤い血:大腸の出口付近(直腸)や肛門からの出血が多い
つまり便の色は、「どこで出血しているか」を推測するヒントになります。赤い血が混じる便については、血便のページで詳しく解説しています。
タール便と「心配いらない黒い便」の見分け方
黒い便がすべて危険なわけではありません。トイレで流す前に、次のポイントを確認してみましょう。
色とツヤ・ベタつき・においの3点をチェック
- 色とツヤ:タール便は光沢のある漆黒。食べ物や薬による黒い便は、黒〜濃い緑がかった色で、ツヤは目立たないことが多い
- ベタつき:タール便は粘り気が強く、便器にこびりついて流れにくい。食べ物や薬によるものは、形がふだんの便に近い
- におい:タール便は血液が分解されるため、生臭さを含む強いにおいがする。食べ物や薬では、においの変化はあまりない
流す前にスマートフォンで写真を撮っておくと、受診のときに医師へ正確に伝えられます。
直近2〜3日に口にしたものを振り返る
便の色は、1〜3日前に食べたもの・飲んだものの影響を受けます。次のようなものに心当たりがないか、思い出してみてください。
便が黒っぽくなりやすい食べ物
- イカ墨を使ったパスタやリゾット
- のり・ひじき・昆布などの海藻類(佃煮を含む)
- ブルーベリー、プルーン
- 黒ゴマを多く使った料理やお菓子
- レバーや赤身肉、ココア・チョコレートの食べすぎ
便が黒くなりやすい薬・サプリメント
- 鉄剤(貧血の治療薬)、鉄分を含むサプリメント
- ビスマスを含む胃腸薬
- 活性炭を含む薬
これらによる黒い便は薬の成分によるもので、多くは心配いりません。ただし、自己判断で服用をやめるのは避け、気になる場合は処方を受けた医師にご相談ください。
なお、痛み止め(解熱鎮痛薬)や血液をサラサラにする薬は、それ自体で便を黒くするのではなく、胃や十二指腸の粘膜を傷つけて出血を起こすことがあります。詳しくは次の章で解説します。
黒い便(タール便)の原因となる主な病気
食べ物や薬に心当たりがない黒い便は、消化管からの出血が疑われます。代表的な病気は次のとおりです。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
タール便の原因として最も多い病気のひとつです。胃や十二指腸の粘膜が深くえぐれ、そこを通る血管から出血します。
おもな原因はピロリ菌の感染と痛み止めの服用です。みぞおちの痛みが典型的な症状ですが、痛みがほとんどないまま、黒い便で初めて気づく方も少なくありません。
詳しくは胃潰瘍・十二指腸潰瘍のページをご覧ください。
痛み止め・血液をサラサラにする薬による胃の出血
腰痛や頭痛でよく使われる解熱鎮痛薬(NSAIDs:エヌセイズ)や、心臓・脳の病気の予防に使われる低用量アスピリンなどは、胃の粘膜を守るしくみを弱め、潰瘍や出血を起こすことがあります。
また、抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)を飲んでいると、小さな傷でも出血が止まりにくくなります。
市販の痛み止めを長く飲み続けている方や、ご高齢で複数のお薬を服用している方は、特に注意が必要です。ただし、処方された薬を自己判断でやめるのは危険ですので、必ず医師にご相談ください。
胃がん・食道がん
がんの表面はもろく、少しずつ出血を繰り返すことがあります。初期にはほとんど自覚症状がないため、黒い便や貧血をきっかけに見つかるケースもあります。
ピロリ菌に感染している方、50歳以上の方、喫煙や飲酒の習慣がある方は、定期的な胃カメラ検査がすすめられます。胃がんのページで詳しく紹介しています。
食道・胃の静脈瘤(じょうみゃくりゅう)
肝硬変などで肝臓に血液が流れにくくなると、行き場を失った血液が食道や胃の静脈に回り込み、こぶのようにふくらみます。これを静脈瘤といいます。
ふだんは症状がありませんが、破れると大量に出血し、吐血やタール便、血圧の低下を起こすことがあります。肝臓の病気を指摘されている方や、お酒を多く飲む方に黒い便が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
飲みすぎ・激しい嘔吐のあとの出血
飲み会のあとに何度も吐いて、その後に黒い便が出た――。このような場合は、マロリー・ワイス症候群(強い嘔吐で食道と胃のつなぎ目が裂ける病気)や、急性胃粘膜病変(ストレスや飲酒、薬などで胃の粘膜が急にただれる状態)が考えられます。
多くは自然に出血が止まりますが、出血量が多いこともあるため、黒い便が続く場合は受診しましょう。胃の炎症については急性胃炎・慢性胃炎のページもご参照ください。
小腸・大腸の奥からの出血
胃や十二指腸に原因が見つからない場合、小腸や大腸の右側(奥のほう)からの出血が、黒っぽい便として出ることもあります。
大腸ポリープや大腸がん、腸の炎症などが原因になるため、必要に応じて大腸カメラ検査で確認します。
「痛くないから大丈夫」がいちばん危ない理由
黒い便が出ても、お腹の痛みがまったくないことは珍しくありません。そのため「一度だけだし」「痛くないし」と様子を見てしまう方が多いのですが、ここには注意が必要です。
- 出血は静かに続く:少量の出血が続くと、気づかないうちに貧血が進み、ある日突然ふらつきや息切れとして現れます
- 潰瘍が悪化することがある:放置すると出血量が増えたり、胃や十二指腸の壁に穴があく穿孔(せんこう)を起こしたりすることもあります
- がんの発見が遅れる:黒い便が、早期のがんを見つけるきっかけになるケースもあります
黒い便は、体が内側から出しているSOSです。原因がわかれば、多くはお薬や内視鏡による治療で対応できます。不安なまま様子を見続けるより、一度確かめて安心することをおすすめします。
黒い便の原因を調べる検査(くずもと内科クリニックの場合)
当院では、症状やお薬の内容を詳しくうかがったうえで、必要な検査をご提案します。
当院の内視鏡検査の特徴もあわせてご覧ください。
問診・血液検査
便の色や状態、いつから続いているか、服用中のお薬などをうかがいます。血液検査では貧血の程度を確認し、出血がどのくらい続いているかの目安にします。
胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)
黒い便の原因を調べるうえで、最も重要な検査です。食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察し、潰瘍やがん、静脈瘤などの出血源を探します。必要に応じて組織を採取し、詳しく調べることもできます。
当院では、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医がすべての検査を担当します。鎮静剤を使った「眠っている間に終わる」検査や、えずきにくい経鼻内視鏡にも対応していますので、胃カメラが苦手な方も安心してご相談ください。
大腸カメラ検査・CT検査
胃カメラで原因が見つからない場合は、大腸カメラ検査で大腸の状態を確認します。検査中に大腸ポリープが見つかった場合は、その場で日帰り切除することも可能です。
また当院は、町のクリニックでは珍しいCTを完備しており、肝臓の状態やお腹の中の病気を画像で確認できます。
受診の前に準備しておくと安心なこと
黒い便で受診する際は、次のものを準備しておくと、診察がスムーズに進みます。
- 便の写真:色やツヤが伝わるよう、明るい場所で撮影したもの
- お薬手帳:市販薬やサプリメントも含め、飲んでいるものがわかるもの
- 経過のメモ:初めて黒い便が出た日、回数、直近2〜3日に食べたもの
- ほかの症状:腹痛、吐き気、ふらつき、食欲の変化など
黒い便についてよくあるご質問
Q. 黒い便が1回だけ出て、その後はふだん通りです。受診は必要ですか?
A. 食べ物や薬に心当たりがあり、体調にも変化がなければ、様子を見てもよいことが多いです。
ただし、心当たりがないのにタール状の便が出た場合は、1回でも出血の可能性があります。その後の便が元に戻っていても、一度ご相談ください。
Q. 鉄剤を飲んでいます。黒い便が出ても気にしなくていいですか?
A. 鉄剤による便は、黒〜濃い緑がかった色で、形やにおいはふだんに近いのが特徴です。
一方で、ベタつく・においが強い・ふらつきがあるといった変化があれば、出血が隠れている可能性があります。貧血の原因そのものが消化管からの出血ということもあるため、気になる場合はご相談ください。
Q. 痛み止めをよく飲みます。予防のためにできることはありますか?
A. 痛み止めを長く使う場合は、胃を守るお薬を一緒に処方することがあります。市販薬を自己判断で飲み続けず、胃の不調や黒い便があれば早めに医師へご相談ください。
また、ピロリ菌の検査・除菌も、潰瘍の予防につながります。
Q. 胃カメラが怖くて、受診をためらっています。
A. 当院では鎮静剤を使い、うとうと眠っている間に検査が終わる方法をご用意しています。「以前の胃カメラがつらかった」という方も、まずは診察で不安な点をお聞かせください。検査を担当する院長の紹介もご覧いただけます。
八尾市・高安で黒い便(タール便)が気になる方へ
くずもと内科クリニックは、近鉄高安駅から徒歩1分の場所にあり、土曜日も午前診療を行っています。
八尾市内はもちろん、山本・志紀・久宝寺エリアなど近鉄大阪線沿線からも通院しやすい立地です。
黒い便は、胃や十二指腸からの出血を知らせる大切なサインです。「食べ物のせいかも」と迷ったときこそ、早めにご相談ください。
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・日本消化器病学会 消化器病専門医を持つ院長が、あなたの症状に合わせた診療をご提供いたします。
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